坂本軽井沢山荘 1991 (個人別荘 長野県軽井沢町)

【昔からの軽井沢様式を継承した家】

「新築するのだが、建替えたことをひとに気付かせない住宅にしたい、」が施主第一の要求だった。
徹底した軽井沢様式を採用したが、のびやかな生活を感じさせる仕上がりになり、施主も大満足。
変にコンテポラリーにするより、この方が現代を感じる。


Drive way 進入路

Traditional Karuizawa stile exterior 伝統的軽井沢様式の外観

Living room 居間

【一人暮らしの婦人のための別荘】

施主は独身の女性で、大平洋戦争前はフランスで少女時代を過ご し、戦争中両親と共に軽井沢で生活した。
戦後は東京を生活拠点に しているが、リタイヤした後は、軽井沢に生活拠点を移す方針の ため老朽化した別荘を建て替えることにした。

要求事項は、軽井沢の風景を守るため、新しい建物も伝統的軽井 沢様式にし、一見新築したことを近隣に感じさせない建物にしたい、 だった。

加えて高齢な独身女性が、自分のためだけに快適に過ごせるよう に、との要求もあった。
例えば、寝室のトイレに仕切りは入らない。
戦時中の経験から、食料貯蔵室は大きく確保する。
泊まり客は想定しないが、将来介護士が宿泊出来る部屋は必要。
玄関はいらない。
天井の高さは、はたきのとどく範囲にする。
等々すべて具体的だった。

彼女は親しい有人でもあったため、通常では話題にしない事項 まで会話し、生活のシュミレーションが出来た。
彼女の鉛筆になることに徹した設計作業だったが、良い経験になっ た。